「今日は少し、変わったことをしようか。摩耶」 
「変わったことにゃふ?」 
 神条皇子はソルティレージュ、ことにゃふうの髪を指で優しく梳いた。 
 世界の歴史をつづった日記。その執筆が一段落ついて、皇子は彼女を寝台の 
上に招き寄せたのだ。 
「何をするにゃふぅ?」 
 皇子は直接それには答えず、にゃふうを膝立ちに立たせ、細長い布を取り出 
して目隠しをした。キツくないよう、しかし簡単には外れぬよう、細心の注意 
を払って縛る。 
「なんにも見えないにゃふぅ〜」 
「取っちゃダメだよ、にゃふ子」 
 そっと囁きかけ、更ににゃふうの耳にイヤーウィスパーを詰め込む。 
「み、みこにゃふ〜ぅ」 
 不安でいっぱいのにゃふう。皇子のことが見えていない彼女にそっと微笑み 
かけて、彼はにゃふうの服を脱がせ始めた。 
 首の後ろのリボンをほどいて胸元をはだける。あまり大きくはない、とはい 
え小さいともいえない、白く優美な隆起が皇子の視界にあらわになる。素肌と 
素肌で直に愛を交わすようになってから、以前よりも少し、膨らんできたよう 
だ。 
「にゃ、にゃふ」 
 外気にさらされた胸を恥じらい、にゃふうは両腕で抱くようにして柔らかな 
乳房を隠す。 
 その間にも皇子はにゃふうのスカートに手を伸ばし、下へ引っ張りすとんと 
落とす、もはや慣れきった手順。レモンイエローのパンツはおしりをすっぽり 
包み込むタイプで、後ろにネコさんのワンポイントが描かれていた。 
 それからもう1本、細長い布を取り出し、所在なげにもじもじしているにゃ 
ふうの唇に軽くキスをしてから、胸を隠す彼女の両腕をそっと解き、……後ろ 
手に縛った。 
 何故こんなことをされるのか、不安が嵩じて泣きそうな顔のにゃふうをそっ 
と抱き寄せて、彼女を落ち着かせるように、頭を、髪を、頬を撫で、その唇に、 
頬に、額に、口づけを落としていく。 
「……にゃふぅ」 
 にゃふうが現状に順応し、安心感をもって大人しくなった頃。 
 ふいに皇子はにゃふうから完全に身体を離した。 
「にゃ!? みこにゃふ!?」 
 びっくりしてにゃふうは皇子を捜す。見えず、聞こえず、腕を伸ばすことも 
できない状態では、どう捜していいのか自分でもわかっていなかったが、落と 
された衣服が絡みつく膝でじりじりと歩いて位置を変えつつ、なんとか皇子の 
気配だけでも捉えようと、彼女は無闇にきょろきょろした。そのとき。 
 ちゅ、と口づけが降ってくる。肩に。 
 あ、と思ったときには鎖骨に。 
 固定された腕に。 
 太ももに。 
 寝台がほとんど振動していないので、皇子は部屋の床の上に立っているのだ 
ろうと推測できた。 
「みこにゃふ、そっちにいるにゃふ?」 
 皇子がいると思しき方へ向きを変えた途端、今度は背中、腰のあたりから背 
骨に沿って、ちゅ、ちゅ、とキスが昇ってくる。 
「あっ、やっ、にゃふ、にゃふぅぅ〜」 
 翼の付け根のくすぐったい部分にふうっと息を吹きかけられ、思わず背なを 
反らせた、その直後、前に突き出されるかたちとなった胸の先端を、舌でチロ 
リと舐められた。 
「にゃふぅっ!」 
 急な快感に飛び上がる。 
 尖り始めたそこを唇できゅっと挟まれ、 
「だ、だめにゃふぅ」 
 身をよじって前かがみ、皇子が離れたと思いきや、今度は首筋を舌が這う。 
「は……ぅ、にゃふ〜ぅ」 
 一事が万事その調子。皇子はにゃふうに声をかけない、抱くことも手で触れ 
ることもない。ただ舌で、唇で、予告も何もなしににゃふうの身体を愛撫して 
いく。あちらをついばみ、こちらを舐めて、そこにキスをし、ここに甘噛み。 
「にゃふっ、にゃふぅ……、にゃふうぅ〜っ」 
 予想もできないタイミングで、思いがけない場所に与えられる快楽。逃れる 
場所もなく、助けを請う相手もおらず、もてあそばれて翻弄されて、にゃふう 
は喘ぐことしかできない。 
「み、みこ、にゃふぅ」 
 乱れた息の中から、大好きな少年の名を呼ぶ。 
「こんなの、イヤにゃふぅ」 
 淫らに上気した肌をくねらせ、愛しい少年に哀願する。 
「さみしいにゃふぅ、みこにゃふが見たいにゃふぅ、みこにゃふの声が聞きた 
いにゃふぅ、みこにゃふに抱っこされたいにゃふぅ、」 
 目隠しの下から、ぽろりと涙がこぼれる。 
「みこにゃふを抱っこしたいにゃふぅ〜!」 
 心からの叫びに、両頬を包む掌が応え、そして痛みに近いほど激しい口づけ。 
挿し込まれた舌が迸る熱情を込めて少女の口腔を犯す。 
「んっ、く、ふぅっ!」 
 息が苦しくなって、気が遠くなって、ふらりと傾いた身体を腕で支えられて。 
 奪うように目隠しが、抉るようにイヤーウィスパーが外され、腕を拘束する 
布は一気に引き千切られた。 
「摩耶」 
「みこにゃふぅ」 
 思い切り抱きしめあう。ありったけの想いで。 
 分かちあう体温。響きあう鼓動。汗ばむ肌がしっとりと重なる。 
「ごめんね、つらかったかい?」 
 にゃふうの瞳に映るのは皇子の瞳。それは後悔と、抑え切れない喜びとが、 
ほぼ等分に揺れている瞳。前者は泣かせたことに対して、後者はにゃふうの言 
葉に対して。 
「ん。平気にゃふ。ちょっとだけイヤだったにゃふけど、」 
 にゃふうは笑った。たんぽぽの綿毛のように。 
「みこにゃふが、まやふぅにしてくれたことにゃふ」 
「摩耶」 
 もう一度、キスを。今度は小鳥がついばみあうように。 
 皇子の手が下がって、にゃふうの腰を包む下着を押し下げていく。片足ずつ 
上げてにゃふうはそれに協力する。 
 抜き取ったパンツをにゃふうの目の前でうにょんと広げて皇子は、わざと意 
地の悪い目つきで彼女を軽く睨んでみせた。 
「イヤがっていたわりには、案外、感じていたんだね?」 
「にゃふっ!?」 
 意外なほど湿った下着を突きつけられて、にゃふうは真っ赤になり、口元を 
片拳で押さえて俯いた。 
「は、はずかしいにゃふぅ〜」 
「じゃあ、さ。こうしようか」 
 新しい遊びを思いついたいたずらっ子の口調で。 
「同じことを、今度はにゃふにゃふが、僕にしてみて?」 
 にゃふうは目を丸くして皇子を見上げて、 
「……うん」 
 嬉しくなるほどえっちな顔で、にっこり笑って頷いた。 
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