目が覚めたとき、そこは天文部の部室だった。
教室の床に敷かれた布団(夜遅くの観察の時に使う簡易的なものだ)から目を覚ます。
「あっ、柊起きたんだ。」
「くれは?」
そう、幼馴染の顔を見て答える。あの後、俺は倒れて……
「私がここまで連れてきたの。大変だったよー。」
「そうか、ありがとなっ………。」
立ち上がって、体中の力が抜け落ちたかのように倒れはじめた。
「危ない!柊!!」
あわててくれはが支えるが、勢いは止まらず二人して布団に倒れこむ。
「うわっ!」「はわっ!」
くれはが俺を押し倒すかのような姿で布団の上に倒れる。あいつの髪の毛から柑橘系の甘いにおいがする。
くれはの顔が俺の目の前にある。心配そうな顔……ちくしょう、何時の間にこんなにかわいくなったんだ。
「柊、寒くない?」
そんなことを聞いてくるくれは。
「ん?ああちょっとな。」
適当に答えを出す。ゆっくりと立ち上がろうとして、くれはがしっかりと抱きしめているのに気づく。
「くれは?」
「わたしが暖めてあげるから、子供の時みたいに一緒に寝よ?」
何でこんなことになってしまったのだろう?自問自答してくれはに背中を向ける。
「ねえ、柊、こっち向いてよ。」
向けるか、馬鹿。向いたら俺は狼になっちまう。
心の中でそう答えつつ、おれは背中に感じる暖かさを無視しようと必死になる。
だが、無視しようとすればするほどその存在が大きくなっていくのを感じる。
「守ってくれて……ありがとう。」
そう言って、首筋にキスをされる。ちくしょう、もうどうなっても俺は知らんぞ!
俺はくれはの方を向くと同じように首筋にキスをする。
「柊……。」「くれは……。」
体が火照ってるのは風邪のせいだけではないだろう。
くれはの背中をゆっくりとさする。彼女は「くすぐったいよ。」と言って、俺のわき腹に手を入れる。
その手を掴んで軽くキスをした。

輝明学園の夜は長く静かだ。体を合わせる恋人達を只、月だけがゆっくりと祝福していた。


まるで騎士からお姫様へのような暖かいKiss。
「はわぁっ!」
顔を真っ赤にしてくれはが叫び声を上げる。
「柊……。」
うわっ……そんな目でこっちを見るな……こっちまで風邪じゃなく赤くなりそうだ。
くれはが、体をくっつけてくる……。やめろ……俺はあの小さい時の、子犬のような柊じゃないんだぞ。
もう、赤い袴の赤ずきんを襲ってもおかしくない狼なんだぞ?
頼む……誰か止めてくれ……。
「何かあったのかぁ?三年二組天文部赤羽くれはぁ?」
部屋の外から男の声がする。良かった警備員だ……って全然よくない!
男女が、一つの布団で一緒に寝てるんだぞ!女性が叫び声を上げたんだぞ!
「ああ、天体観測のために止まってたら………そう!蜘蛛!蜘蛛が出てきて!」
くれはが、苦しい言い訳をする。
「ああ、そう。」
警備員はそう言った後立ち去る気配がする。ほっとして、ため息をつく。
「ああ、そうだ。」
いきなり戻ってくるな!
「もうそろそろ6時半だから、学校に用事が無いんだったら早めに帰るように。」
そう言って、再び立ち去っていく。やる気の無い人の仕事ってそんなもんだ(By津村斗○子)
「ふう。」「はあ。」ふたりして、同時にため息をつく。
あたりは暗くなり、体育系の連中が校門から外へ出て行く。
「シャ、シャワーでも浴びて、さっさと帰るか?」
一体何言ってるんだ!俺は!
「そっ、そうね………。」
くれはも、顔を赤らめてそう答えた。

シャワールーム。体育会系の連中が使い終わった後なのか、少しタイルが濡れている。
一応、男女の区別はついているが、特に機能が変わる事は無い。
冷水がお湯になるのをまつのはゴメンだ。幸い体育会系が使った後なので、あったかいお湯が残ってるのもあるだろう。
お湯の設定が熱くなってるところを探して思いっきり蛇口をひねる。
「うをぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
次の瞬間、まるで氷を叩きつけられるような冷たさが俺を襲い、俺の体温が下がる感覚があり、俺は暗闇に落ちていった。

「ひ……ぎぃ………。ひいら…ぃ……ひいらぎぃ……。」
夢を見る。小さい時、くれはと一緒にお弁当を食べたこと。
お泊りの時、一緒に寝たこと。一緒にお風呂に入って………うわあ!止めろ!止めろ!

「柊!ねえ柊!目を覚ましてよ。」
巫女服を脱ぎかけたくれはが、俺の体をさすっている。どうやら叫び声を上げた後、そのまま駆けつけたらしい。
あったかいお湯をあびて、体のラインが出ている。
「わりい、油断してた。」
そう言って、ゆっくりと立ち上がる。これ以上こいつの体を見てたら俺の心が持ちそうに無い。

「………。」
巫女服を外に干してから、ゆっくりとくれはを待つ。
(くれは……色っぽかったな……。)
ぼうっと、そんな事を考えながら、星が光り始めた空を見る。
(………なんか、今日は色々あったな。)
疲れた顔をしてごろんと転がる。
「きゃあああああああああああああ!」
くれはの叫び声が突如、響く。ちくしょう!なにが起きたんだ!!
魔剣を抜く準備をして、シャワー室に入っていく。
「柊!柊!蜘蛛!蜘蛛!蜘蛛!」
そう言って、抱きついてくる。うぉぉぉぉぉぉぉっ!裸で抱きつくなあ!!

蜘蛛はしっかり倒しておいた。

「…………。」
部室で濡れた服を乾かしながら、二人とも下着姿で布団の中で真っ赤になって黙り込む。
くれはの家には、部活で遅くなると伝えておいた。不安そうに体を寄せてくる。
「へくしょん!」
くれはがくしゃみをする。
「くれは、風邪か?」
「……ちょっと濡れたからね。大丈夫だから。」
そう言ってもう一度くしゃみをする。…赤らめた顔を見たのは何度目だろう?もう耐えられそうに無い。
くれはの唇にキスをする。ん…んと少し顔を離してくれはが言う。
「柊にも風邪が移っちゃうよ。」
「元から、なったたしよ。この程度なら大丈夫だって。」
そう言って、俺はもう一度キスをする。今度はくれはもキスを返してくる。
ドクンドクンと心臓の音がじかに響きあう。……しまった。二人とも下着だったんだ。
「柊……。」
そう言って、くれはが身を寄せてくる。もう良い、これから先のことは全て 事 故 だ。
俺のほうからも抱き寄せる。うっすらとした、柔らかい肌。まるでひなたぼっこをしてるような感覚がする、暖かさと匂い。
くれはの首筋にキスをする。くれはも俺の首筋にキスをする。
俺の傷を癒すかのようにくれはがキスをしてくる。くれはのこころを落ち着かせるかのように俺もくれはにキスをする。
そのまま俺達は絡みつくかのように深い、眠りの奥へと誘われていった。


「……ん?」
 ふ、と目を覚ましたのは柊。壁にかかった時計を見ると2時過ぎ。
 感覚の覚醒と同時に左腕に感じる重み。少し頭を上げ、見やると穏やかな――とても穏やかな寝顔がそこには在った。本来の枕は遠く布団の向こうに。
「ずいぶん……幸せそーに寝てくれやがって……」
 呟き、左腕を諦めて自分の枕に頭を再びあずける。心地よい重みとかすかに湿った髪の感触。
 そして思う。自分が命を賭して戦う意味――くれはを護るという誓い。
 それは守護者としての運命を超えた、自らの意志。

「んむ……」
 ふいにくれはがこちらに寝返りを打つ。慌てて左腕を支えるように動かす。
 くー、くー。すぐ側にきた顔から寝息が聞こえる。鼻孔をくすぐるのは髪かシャンプーの香りか。
 堪らなくなって、柊はおでこにくちづけようと顔を近づける。
 と、もぞもぞとくれはが動き出す。布団から出ていた足先をしまいこみ、身体を丸めるのが視界の端に映る。
「うおっ!?」
 冷えた足が柊に触れる。足先、ふくらはぎ、膝と撫で上げるように動き、ももの手前で止まった。
 同時に、引き寄せられた左手が柊のものに触れた。ひんやりとした夜気が首から入り込み、胸板を撫でて左手の手前でこちらも止まる。
「……う……」
 高まる鼓動が脳内で反響する。もしかしたらくれはに聞こえているのかもしれない、そんな気さえする。
 距離を取ろうと柊が身じろぎしたとき、ガクンと左腕の頭が落ちた。くれはが丸くなって頭がずれていたのが、今の動きで止めを刺されてしまったのだ。鈍い音が響く。
「……い……ったい……?」
 目をしぱしぱさせてくれはが首を伸ばす。わずかに開けた視界に、慌てた柊の顔が10cm前の距離に浮かぶ。
 ふと、左手に感じる熱。軽く握っていたものがどうしようもなくなった柊だと気づいたのは、たっぷり2呼吸の時間をかけた後だった。



ぼうっとした表情で、くれはが目を開ける。目の前には、やさしく笑っている柊の顔。
「おはよ〜〜。」
自分でも寝ぼけてるなとわかる声で、そう言う。
「おはよう。くれは。」
そう言って、彼はそっと、背中をさすってくる。
その感触から、自分が下着であることを思い出す。
「えっ、えっと柊が何でここに?えっと、えっと……。」
必死になって昨日の事を思い出す。
たしか、二人ともずぶぬれになって一緒の布団で寝たこと、互いの首筋をなめあったこと……。
「はっはわーっ!!」
顔を真っ赤に染めて思い出すくれは。その様子を見て、柊も顔が赤くなる。
「えっ、えっと、柊……腕の怪我大丈夫?」
慌てて、話をそらす。柊の腕に小さな傷を見つけて。
「怪我なんて、ねめてりゃ治るよ。」
彼がそう言って、苦笑いする。
「………。」
ケガナンテナメテリャナオルヨ。わかってる、柊に悪気が無いことは。くれはを心配させないようにかけた一言。
「どうしたんだ?くれは?」
「ううん………。」
柊の目を見ないように、くれはは体を丸める。
「…………!!……わりい……」
どうやら、柊も気づいたらしい。少し体を離してくる。
「「…………」」
無言のままの世界が広がり、静かな二人だけの世界が広がる。
まるで月匣の中に二人だけダイブしたような感覚。
意を決し、くれはは胸に巻いたさらしを外し、柊に自らの体を見せる。
ほっそりとした体、健康的な肌、そして、肩から胸の下辺りにかけて残っている傷の跡……。
これは、彼がつけた傷だ。くれはの体を利用した、ディングレイを倒すために彼がつけた傷跡。

「「…………」」
それでも静寂は止まらない。気まずいまま、二人の時間は更に広がっていく。
「俺が、なめてやるよ。」
柊が、そう言ってくれはの傷跡に顔を近づける。
「お願い………。」
柊に全てを投げ出すかのように、あおむけになり、両腕を広げ、その無防備な肢体をさらす。
柊は、その上に乗るように、だが、くれはに負担がかからないように、彼女の傷に唇を近づける。
おなかの辺りに暖かい物が当たる感触を感じ、くれはの体がぴくんと反応する。
「痛かったか?」
「ううん、大丈夫だから……。」
痛くなんて無い。彼がついてきてくれるから。
ゆっくりと、暖かい感触が体の上を伝わってくる。
「ん…あっ……。」
心地よさに声を上げ、くれはは柊の感触を確かめる。
自分の小さな胸の上を柊が優しく舐めている。
(柊って胸の大きな子の方が好きなのかな?)
そこまで考えたとき、乳首に暖かい感触が触れる。
「…………!!」
敏感な乳首に触れた快感がくれはの中を襲い、声にならない叫び声を上げる。
体中の血が駆け足になり、体中が火照る様に熱い。
ただ、その中、彼の触れているところだけが冷たく感じられる。
そして、彼の唇が首のところまで来て、そっと離される。
「あっ、ありがとう、柊………。」
そう言って、くれはは柊に熱いキスをする。唇同士のファーストキス。
「ん……。」
恋人同士のファーストキス。全てを包み込むファーストキス。
そのまま、絡まるように倒れる二人。何時しか、二人は再び眠りの中へと落ちていった。


目を覚ました時、そこはすでに太陽の光に包まれていた。
「今日は休みだったな………。」
そう言って、柊は、寝ているくれはの方を見る。
幸せそうな笑顔。暖かい体。そして鼻をくすぐる良い香り。
上半身は生まれた姿のまま、その体を柊へと寄せてくる。
「朝飯、ちっと遅くなりそうだ。」
柊はそう言って、優しくくれはの体を抱きしめた。


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